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夜にはばかる憎まれっ子世にはばからず

カブトムシを飼っている。
祖母の畑には牛糞というカントリー・スペシャルの肥料が豊潤にあるのだけれど、その中からヨーヨー大に成長した幼虫が10匹以上出土したので、腐葉土に移して放置した。ここまで大きいと幼虫ながら活動力も常軌を逸しており、土の中で一斉に動くとまるでゆらゆらと立ち上る陽炎のように土が波打つほどだった。だが、そのアクティブ無比な強豪たちも全員が予選通過するわけではなく、羽化したのは7匹だった。
その中でも、黒漆のような色で体も大きく、角がかなり立派なものがいた。目立っていた。そして強かった。他の者では歯が立たないらしく、夜には好きなだけ暴れ周り、餌を貪り続けていた。メスと交尾もしていた。完全にヤンキーのライフスタイルである。そんな感じの日が何日か続いた。


で、先週ケースを見たら、壁にもたれ掛かる様にして死んでいた。「 こいつ、立ったまま死んでる・・・! 」という奴である。
良く見ると背中が完全にひしゃげていた。
これは私の推測なのだけれど、多分いつもの様に有象無象にタックルをかまして練り歩いていて、返り討ちに会ったのだと思う。落下ではあの潰れ方はしない。情けない死に方だ。こういうお調子者のあっけない幕切れというのは究極にダサい。「 金儲けの何が悪い 」でお馴染みの村上世彰氏とか。それまでの実力や栄光や権威に関わらず一瞬で下衆のファンタジスタと化す恐ろしさがある。これはお調子者ではないが、織田信長があそこで自害したのはやはり当然なのだ。武士に生まれた身としては、敵に討たれて犬死にするなど以ての外なのだろうと思う。
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ちなみに今生き残っているのは3匹。栄養が足りず短小な角を持ってしまった雄と、雌が2匹。これはこれで面白い。人類最後の日も多分こんな感じだ。さえない男達と、その倍の女性陣。