男はヴィジョン

先刻突然、風呂の中でアイスを食べたいと思い立ち、冷凍庫にあったPARMという甘さ控えめで上品な味わいが別段私にとっては印象的でもなかったウダツの上がらないアイス・キャンディーを片手に脱衣所へ向かい、そこで先に袋を破いてしまってすっごい服脱ぐのが面倒なことになってしまったことを後悔しつつ、生まれたままの姿プラス右手にアイス、準備はできた、いよいよバスルームにインし、風呂の蓋を開け、湯船にとんでもない勢いで着水し、ムシャリとアイスを咀嚼したのも束の間、さっき立てた筈の風呂の蓋が再び風呂へと倒れてきて後頭部にカウンターを食らった。首は自転車でギアチェンジした時のような音を立て、PARMが目に刺さった。
「 夜の群青を泳ぎ回っていた夢は、哀れな男の胸で穏やかな時間の波の中へと消え、水平線を一層深くなぞるのであった。 」