くちびるおばけ

女性の唇に艶かしさを感じるという男性は多いが、最近私が思わず息を飲んだのは資生堂のCMに出ているアンジェリーナ・ジョリーの唇である。( 参考 )十分すぎるほどにふくよかでありながら、人体のパーツとしての逞しさに溢れている。可愛さなどという要素を完全に排除し、エロスの権化へと昇華された唇に近い。
一方、違う意味で息を飲むのは叶恭子のそれである。整形の果てに、唇だけがマイケルジャクソン現象を起こしている。確かにアンジェリーナ・ジョリーも整形の可能性を否定は出来ないが、彼女の唇は整っている。叶恭子は、ギリギリのラインというものを数キロはオーバーしている。下唇は「 たらこ 」ではもはや形容出来ないほど肥大化し、きのこの山のチョコを舐め取って残るスナック部分のような形状になっている。いや、箸でつまむと速やかにほぐれそうな脆さを考えれば、形状を「 保っている 」と言った方が良いだろう。釣上げてすぐに塩をまぶして焼いた天然の鮎以上に崩壊寸前であり、ぶるぶるとした肉腫の如きグロテスクささえ醸し出しつつある。
叶恭子のリップはアンジェリーナ・ジョリーのリップに永遠に到達し得ないだろう。決して人種や目鼻立ちの差が彼女らを隔てているのではない。唇に限って、叶恭子の美醜判別システムに致命的な欠陥があるというだけの話である。おばちゃんの香水と一緒で、美への探究心も、結果的には暴走になってしまう恐れがあることを肝に銘じておくべきだろう。