胸が高鳴る

読売テレビのマスコット「 ウキキ 」というのが存在するのだが、知らない人は検索して一度御覧頂きたい。民法の放送局のマスコットキャラと言えば、MBSの「 らいよんチャン 」やCTVの「 チュウキョ〜くん 」、ABCの「 キュキュ 」など、顔が大きく丸みを帯びたボディが特徴的なものが多かった。しかし、ウキキはどうか。一瞥によって少なくとも五頭身はあることが分かる奇妙なバランス。全身黒タイツに赤いスカーフ。スラリと伸びた手足に適度に膨らむヒップ。ベビーカステラの如く横に伸びた顔と抜群のプロポーションは性別、年齢、そして、果たして"それ"が人間なのか猿なのか、といった全ての要素をオブラートに包んで彼岸の側溝に投げ捨てる勢いのミステリーを孕む。
そして、私がウキキの真価を見たのは、先日から開催されている「 わくわく宝島 」においてであった。彼は全身黒タイツであるが故に、中に入っている人間の体格がリアルに現れ、彼がヒトであることを我々に露呈してしまう。ウキキは登場した瞬間から、キャラクターとして内包すべきヴァーチャルを放棄するのである。理想を脱ぎ捨て、無邪気な子供たちをも、暗く乾燥した現実の峡谷へ放つのである。


たまの「 さよなら人類 」の最後はこのような歌詞で締めくくられる。

サルにはなりたくない サルにはなりたくない
壊れた磁石を砂浜で ひろっているだけさ
今日 人類が始めて 木星についたよ
ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ


サルになるよ サルになるよ

人間は、ヒトである自覚に急かされ、やがてはサルと等しい生き物へと還ってゆくのである。文明が発達に伴って生まれた高速な移動手段を用いて、全国からわくわく宝島の会場へ押し寄せるヒト。通貨を払って肉を頬張り、ゲームを満喫し、テレビカメラに闇雲に映ろうとする姿は、果たして生態系の頂点に相応しい姿なのだろうか。自ら作り上げた世界で醜く振舞う姿は、ともすれば他の全ての生物に劣る。ウキキは、ヒトとサル、リアルとヴァーチャルのボーダーに住む者である。彼がいつもウキウキワクワクしている*1のは、そこから人類を俯瞰し、嘲笑しているだけなのかもしれない。

*1:wikipedia参照