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なめらかプリンはプリンか否か

なめらかプリンと銘打ったスイーツをあらゆるコンビニで目にして参る。私も幾つか食べてみたことがあるが、真に嬉しい味がする。ただ、何か釈然としないものがある。なめらかという語の範疇を超えて、もはやこれはクリームのような物になっているのではないか、と。今時ヨーグルトでももう少し固まろうと努力しているものだが、なめらかプリンはその名の下にあって猶、流動性ばかり徒に湛え、スプーンにも手ごたえを感じない。「 なめらかプリンはもはやプリンを超えた 」などという現代芸術家ないしはドクター中松ばりの支離滅裂な論が立てられるのも時間の問題かも知れない。


この流れにプリンの未来を憂う声も少なくないが、実はプリンには経済と同じく波がある。プリンの硬さである。古くからパンや肉は柔らかいものが舌を染める美味とされてきたが、プリンの硬さは時代によって変動する。最近では、焼きプリンからクリームブリュレを経て、なめらかプリンブームに至っているのを見ても分かるだろう。まず焼きプリン。少し硬めに仕上げて表面に焼き目をつけてあり、カラメルソースもほろ苦い味であった。そしてクリームブリュレ。クリームの滑らかさを重視し、オーブンで焼き上げ、表面にはパリッと焦げ目をつけた砂糖をまとっている。そうして現在のなめらかプリンを見ると、クリームブリュレのクリームのような滑らかさを取り入れながら、カラメルや焦げ目などを一切排除し、冷やすことで凝固を極限まで押さえ込んでいる。とするならば、なめらかプリンはプリンとクリームの境界にあると言っても過言ではない。今後も滑らかさに拍車がかかり、限りなくクリームやムース、ペースト状のものに近づいていくことは、想像に難くない。


しかし、こうした「 なめらかバブル 」もいつかは崩壊し、プリンのスムースさは大暴落する。止まらないプリンの硬化、そして焼きプリン以上に舌に応えるような、硬いプリンがトレンドを飾るときがやってくるのだが・・・ここで新たな問題が浮上するのだ。プリンは極限まで茶碗蒸しに近づくのである。