犬の小便

犬の散歩をしていて非常に不思議に思うのが犬の小便だ。彼らは紛れもなく用を足す場所を選んでいる。周辺の匂いを嗅いで、以前にその場所でどのような犬が小便をしたか量っている。
強い犬が用を足した、言い換えればマーキングをした場所に下級の犬が上書き小便をした場合、考えられるホラーは「ウチのシマでなにやってくれてんだ」と暴力団よろしく猛犬から報復を被ることだ。だから、牧場に落ちているような巨大便は明らかに避けて通る。電柱の仄かな尿の痕跡も、残り香をたどって主の図体を推し量っている。トイレは常に猛者によって奪われ続ける。
しかし、弱い犬が尿をかぶせたとして、その匂いによって特定されることがあるのだろうか?確かに犬同士は遭った時に尻を嗅ぎ合うし、強い犬に会うと尻を股に挟んで肛門を塞ぐ様にするが、その目的はネットで検索しても出てこない。少なくとも犬種が多様化した現代においては、糞尿による個体の特定はほぼ不可能だ。


ただ、かつては人間ではなく犬同士で群れを成していたことを考えると少し違ってくる。生物は同種の分泌物質には敏感に反応するから、尿の臭いを嗅いだだけで群れの中のどの犬かを特定できたのかもしれない。あるいはヒエラルキーにおいて高位の個体が尻の臭いを嗅いで回るということもあったのかもしれない。実際にニホンザルのグループでは高位の個体に尻ダコを見せる「プレゼンティング」という行為がある。犬は逆に自分の尻の臭いを嗅がせまいと尾を丸め込むのかもしれないなあと思っているのだが、犬に詳しい人がいたら教えてほしい。