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内臓食い

先日学食で朝食を取ったときに、ふと目に留った「さんまの南蛮漬け」がとても旨そうに見えた。
魚は嫌いではなかったが、日ごろ進んで食べようとするものでもなかった。だがその時は、炎天下に置かれた氷水と言おうか、廃屋に待つ艶女と言おうか、なぜかそれほど私の欲望を刺激した。


私はさんまの内臓がまるでダメだった。細く尖った肋骨の中にブヨブヨとしたゼラチン質。それに囲まれて赤黒い種種の内臓がある。時折混じっている鮮赤の血管のようなものはラディノリンクスという寄生虫だという。不快で仕方がなかった。だから私はいつもその一帯をごっそりと取って身だけを食べていた。


だけれどその時はさんまの身を開いた瞬間に現れた内臓の数々がとてもおいしそうに見えた。正直、禁欲を強いられた果てに見る裸体のような、貪りつきたくなる感情をおぼえた。もうこれまで食べていた部分がサブで内臓がメインのように見えて、頭と背骨を取り除くやいなやさんまにかぶりついた。非常に濃厚な味。うまい。止まらなくなって、頭も丸ごと口に放り込んで咀嚼した。首の辺りにたまった血合いとゼラチン質の執拗な旨みと臭み、柔らかい頭部の骨片の食感。今まで食べなかったことを後悔する旨さだった。


それ以来、どうもグロテスクな食い物に抵抗がなくなってきたのだが、ホームセンターで売っていた犬や猫用の餌なのか何なのかよく分からない鶏の頭部の水煮を買いそうになった時はさすがに思いとどまった。