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インターネットで読める怪文2012まとめ

(追記: 2012/12/31)思いの外多くのアクセスを頂いているので、ご覧になる皆様にお願いを申し上げておきます。下に紹介したサイトは、あくまでその表現の特異性から紹介をするのみであり、投稿者やサイト運営者の人格を非難・嘲笑することを目的にしている訳ではありません。リンク先へアクセスされる際は、決してサイトを荒らす、人格を攻撃する、またはその目的によりSNS等で拡散することのないようお願いをいたします。


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タイトルの通りです。2012年に発掘したネット上の怪文章私的まとめです。ちなみにここでいう怪文とは出所の分からない告発文や暴露文のことを指すのではなく、一見して内容が飲み込めない、理解できないという類の文章です。
また、当エントリは統合失調症などの精神や神経系に関する特定の疾患・患者を貶めるものではありません。というのも、私がネットの怪文を集めているのは「なぜ"おかしな"文章は正常の人間には書けないか」「なぜ書こうとすると文法崩しやワードサラダに終始してしまうのか」「意図的にそうした文章を書くにはどうすればよいか」という興味からで、何か、壊れた人間を見下したいとかそういう気持ちからではなく、いわば一種のアウトサイダー・アートのようなものとして蒐集しているのです。よろしいか。それでも当エントリが不快であるという意見があればお申し付けください。

普通のおかきの店なのに店主による憂国のアジテートが止まらないサイト。もはや有名どころですね。際立って怪文章ではないのだけど、上の方の、いかにも柔らかい印象を与える商店案内デザインから、スクロールするや否や飛び込んでくる威勢の良いバナーに「崩し」のセンスを感じます。ちなみに「将来的には宗教法人とかもやりてー」なことを言う経営者のおっさんをリアルに2人知っているので、こういう先生・教祖的な立場に立ちたがる店主や社長って少なくないのでしょう。

リンク先自体は「ひび割れガラス球照明」の技術や特許に関するページ。だがそこからクリックを重ねると、こういうところなんかが出てきて、「『k社』の社長の妾の息子」によって特許取得を妨害されたということへの恨み・告発文、ハイテク犯罪の被害状況報告など膨大な量の文章が出てきます。
上の特許に関するあれこれとは異なる文脈の文章になりますが、同氏による実話・辛くて悲しい運命も圧巻。これは文章表現に興味がある人なら是非読むべきだと思います。人間が本当に己の血を刷り込んで書いた文章ともいえるページです。

 私に愛嬌を振りまき続けた妹(一面識も無い)と間違えて、精神病の姉(元同級生)に手紙を二回出しただけの落ち度で、昭和53年(1978年)以来、今日(2008年)まで、30年もの長い年月に渡り、精神病の娘(キチガイ婆)を抱えた一家を中心とする何十人もの人間に、全く道理の通らないストーカー行為を際限なくされ、挙げ句には、ストーカーに加担した警官に交番ぐるみでキチガイに仕立てられ、その長年に渡るストレスや憤りの蓄積によって確実に寿命を縮めさせられ、一度しかない人生を狂わせられる程の酷い目に遭うとは。

私はこの一見して意味不明で無茶苦茶なページを嘲笑しようとは思いません。常識的に考えて迫害妄想であり病的な内容であり、ところどころ何がなんだか分からないのだけど、しかしながら彼の理性が感じ取った痛みがそのまま行間に、刺青のように彫り込まれており、涙を誘うのです。その表現力に嫉妬さえ憶えるくらいです。

技術つながりでこちら、知る人ぞ知る「田中式」。ハングアップの起こりやすいWin98を安定化させる手法を独自に研究・発見したというサイトなのですが、技術自体はPC上級者の間では「うまくいけば成功するけどリスクの高い方法」として暗に知られていたというもの。2chで確実性に欠けリスキーであるという理由から批判され、そしてそのやり取りの中で論争になったり誹謗中傷を受ける中で何かが壊れていった、そういう過程のよく分かるサイトです。そこから日本人の国民性批判、果ては日朝関係への言及に至る流れは非常にすばらしい。それにしても今よりも低速回線の時代にここまで画像を多用、かつ縦に長すぎるサイトを作ってよく公開したなと思いますね。10年前かそこらの環境では開くのも一苦労だったはず。

mixiで一時期流れたという「アルフィー高見沢はナチス」という論旨の怪文章(の紹介エントリ)。どこそこの芸能人はやれ在日だやれ創価だといって批判したがる人はよく見ますが、「アルフィー高見沢はナチス」という組み合わせの斬新さに思わず笑みがこぼれます。日本ではナチス陰謀論ユダヤ陰謀論はあまり市民権(?)を得ていないので今後に期待、一方高見沢がナチスであることと高見沢批判がうまく結びついておらず、病的な風情がすこし足りないかな、という印象を受けます。しかし、
「核爆弾で死にたいのだったらこれを削除して高見沢の味方をしてナチスになってください。」
これがチェーンメール的に流れてくることを考えると、やっぱり面白いですね。

こちらは怪文章というよりは、毛頭共感できない類のもの。女の子の運転する車に踏まれたり、泥を跳ねられたり、あるいは大事にしているものを踏んで破壊されたいというフェチに関して語り合うスレのようです。

高校の時にクラスに学年で3本の指に入る可愛い女子がいた。かなりド田舎の農業高校…
その娘は毎日お母さんに車で送り迎えしてもらって通学していていつも学校の裏門から出入りする。
裏門は県道に面していて県道から校舎までは150mくらいある。その間は砂利が敷かれた道で県道への出口は急な登り勾配。
結構、砂利が深く出口が急勾配なので県道へ出る時にタイヤが空転するシーンがよく見れた!
可愛いあの娘が乗った車の前輪が勢いよく空転して砂利を後方へ蹴り飛ばしながら発進して行くシーンを毎日見て興奮した。
ある日、県道へ出るのにいつもよりも手前で一旦提出して発進しようとした時は凄かった。
普段は少しの空転もこの日は2mぐらい空転して発進して行った。
発進と同時に周囲に砂利を跳ね飛ばしながら『ズドドドドドドッ!ズズドドドーッ!』と激しい音を立てながら少しずつ前進して県道まで登り走り去って行った。
さらにスリップにより物凄い砂埃を立ててしばらくの間周囲が煙っていた。そのシーンを間近で見た時は激萌えだった。
可愛いあの娘の乗った車がタイヤを空転させて物凄い砂埃を巻き上げ砂利を跳ね飛ばして少しずつ前進して行くシーンがたまらなかった!
見に行くとタイヤが空転したところの砂利は無くなり地面の地肌がでていた。そのスリップ跡は2mぐらいあった。
我慢できずトイレへ直行した。

なにも分かりません。

釧路 顔が滅茶苦茶の頃、旅行で行った 946 苦死炉。

薬師丸ひろ子 894丸 薄給よ、丸山さん?

野上くん 高校の同期 no神 信仰を持っていなかった事と関係有るのか?

くの豊 部の先輩 苦悩で豊かな思想を産み出す?

落合さん ファミマの女の子 王、知る、愛?

http://666898.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/2011123-ahgf-b0.html

えー、これを読んで、共感は出来なくとも、どういう意図が働いているかどうかくらいは分かりますよね?分からないならインターネット辞めてください。
この人がやっていることはただの連想ゲームです。自分の身辺に存在するものを分解、連結、再構築し認識しなおすというもので、ガキのあだ名から商品のネーミングにいたるまで誰でもやっていることです。でも、文章を見る限り、それに他人より本気で取り組んでいるのです。
いわばこれは言霊信仰であり、卜占であり、詩なのです。考えるな、感じろ。姓名判断と特に変わらん。同級生の名前によって自分の運命が定めらていたというのも、信じれば真なのです。その体系の中で彼は生きているのだと思います。

最後はこれです。このサイトのページのうち、下5つが怪文章にあたります。
おつぼ山神籠石と時空干渉者
時空干渉が始まる迄
別れの時空選択
教育破壊工場の悪魔達
池永投手の追放は時空干渉
こういうサイトを読みなれていないとなかなか内容を理解するのが苦痛ですが、私もあまりよく分かりません。あえて要約すると、「"時空干渉"によって人との出会いが妨害されたりいろいろあったりした」という内容なのですが、所謂病的な文章に通底する要素が網羅されていて、実は非常に教科書的な怪文章なのです。
怪文章の怪文章たるゆえんは「共有不能なコンテクストに依存すること」と「共有不能な体系に収録されていること」にあります。このあたりを創造できれば、つまり狂人の文章を創作できると考えているのですが、結局はそれっぽいワードサラダや造語の乱用になってしまうばかりでなかなか実物にはかないません。
話が逸れましたが、このサイトでは"時空干渉"という現象(人為?)によって「井手洋子」なる人物や「おなかにダムを作る錠剤イオナミン」との出会いが遅れたり、行動を選択させられたり遅らせられたりしたということを述べています。ここで我々が感じる違和感は、「なぜそのことをわざわざ訴えているのか?」と、「そもそも時空干渉って何よ?」とであり、それはつまりは書き手と共有されていないコンテクストの乖離によるものです。井手洋子も時空干渉も、特別な説明も無く使用されており、どういう関係の人物でどういうメカニズムによる現象なのか、全く分からないままいくつもの文章を読まされることになります。
また、上の5つのページは相互に参照し合っており、つまりこれら全てが書き手の中で体系付けられ関連を整理されていることが分かります。分かりやすい例で言えばWikipediaのようになっているのですが、それぞれを読んでも我々には理解できません。
(※ちなみにこうしたサイト構成の最たるものとして電子百科事典 - 地球儀というサイトがあります。多分半日潰して読むくらいの気力が無いと意味が分からないと思います。)
このサイトで面白いと思ったのは、「時空干渉によって『おなかにダムを作る錠剤イオナミン』(整腸剤みたいなものらしい)との出会いが11年遅れた」ことが何度も言及されていることです。そんなに大事なんだイオナミン。それと出会えなかったことを恨むほどに。


おわり