活動組体操

運動会にて、第5プログラム「組体操」


《ピッ》


グラウンドの四隅からカラフルなハチマキをつけた子どもたちが勢いよく走り出し、四つの塊がグラウンド中央に並んだ。


「ただいまから第5プログラム、6年生による組体操を始めます」


アンビエント系のチープな音楽が流れ始めると、四つの塊がボウリングのピンのような隊列を組んだ。


《ピッ》《ピッ》《ピッ》


笛が鳴るごとに土台が組みあがり、グラウンドの中央には四つの大きな塔ができあがった。


《ピッ》


笛が鳴ると今度は一年生がグラウンドの端に一列に整列した。


《ピッ》


「ワー!」と声を上げながら一年生は一斉に四つの塔に向かって走り始めた。
一年生が端から端へ通過した後しばらくの静寂があり、一番西側の塔が崩れ落ちた。


「ただいま、福島第一原発一号機の建屋が爆発しました!」


ストレスの強い声で初老の女教師が叫ぶ。観客席からざわつく声があがる。


《ピッ》《ピッ》《ピーッ》


続いて三号機、二号機、四号機と崩れてゆく。


《ピッ》


レディオヘッドの「パラノイド・アンドロイド」にBGMが切り替わる。
すると地面に伏していた子どもたちが気を張って立ち上がり、グラウンドを駆け回り始めた。


「黄色のハチマキはプルトニウム、緑のハチマキはウラン、赤のハチマキはセシウムです。今、日本では放射能が拡散しています」


子どもたちは手を真横に開いて駆け回る。


《ピッ》


走っていた生徒たちが集まり、二列に整列する。


《ピッ》


「がれき!」


《ピッ》


「奇形植物!」


《ピッ》


「双頭の豚!」


「不謹慎だ!」「最悪だ!」「気持ち悪い!」
号を上げる保護者がいる中、BGMはパイレーツオブカリビアンの壮大なテーマ曲に替わる。


《ピーッ、ピ!》


最後に気合の入った笛の音が聞こえるやいなや、生徒会長のS君と副会長のK君が体操着を脱いで性器を露出させた。


《ピピピピピピピーッ!》


二人は放尿しながら観客席に向かって走り出した。


「ヒィー!」「バカやめろオイ!」


「これがフクシマの『今』です!嫌なら逃げろなんて、通用しません!これがフクシマの、『今』なんです!」