読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

範馬刃牙完結に際して

範馬刃牙が完結しましたね。知らない人のために説明すると、「ッ!」が語尾につくキャラがたくさん出るメタ格闘漫画で、グラップラー刃牙からだと20年くらい続いた、有名な漫画です。それが今週で完結した。で、そのオチについて賛否両論、というかネットでは散々に言われているみたいです。

なぜバキは最終回で失敗してしまったのか?範馬刃牙に足りなかったものとは? - Togetter

このまとめでは「失敗」という言葉が何度も用いられていますが、ではそういったオチをつけるための文学の工学を用いなかったからと言って、刃牙シリーズは失敗だったのかって言うと、全然漫画としては「成功」してると思うんです。単純にこれまで面白かった、ネットのオタクの間ではジョジョやカイジに並ぶ「教養」と言っても過言ではないほど、たくさんの人に愛された面白い漫画ですよ。私としては、最後の一話が微妙だったからと言って何だ、と思うのですが、漫画の連載が終わるといつもオチがウンタラと言いだす人がいますね。浦沢直樹もよく槍玉に挙げられますけど、刃牙シリーズなら20年、20世紀少年なら7年以上、それだけ楽しませてもらったなら、もう十分、全然いいじゃんって。


小説で言うと、それこそ「人間失格」だろうが「山月記」だろうが「ライ麦畑で捕まえて」だろうが「百年の孤独」だろうが、オチだけ見ればまともにエンターテイメントの体をなしていない「名作文学」が山のようにある。だけどそれをボロカスに言う人っていませんよね。「過程が大事」とかいう安っぽい言葉に収束しそうですけど、全編通して心酔できる一文、心に刺さる一文、情景がありありと浮かぶ一文、そういうのに出会えさえすれば「読んで良かった」って思いますよね。推理小説しか読まない人とかは知りませんけど。でも漫画は何故かオチにうるさい人が多い。確かに20世紀少年とかは、「最後には全部氷解しまっせ」オーラを出してたのでオチに文句をつけるのは分かりますけど、刃牙に関しては終始、今回が面白くて次回が面白そうだったらそれでいいみたいな姿勢だったので、別にオチが気に食わなくても名作漫画なんじゃないかと思うんですが。


漫才とかも、オチで是非が分かれるんじゃなくて、基本的にはネタを通してどれだけ笑えるかという評価になる。漫画もそうで良いと思うんだけど。変に物語論とか絡めて読まなくても、「アライ編の梢江が一番可愛かったな、あとはなんか不細工になっていくけど」とか「ドイルが最後、仕掛けに頼らず克巳に教わった正拳で柳を殴るとこ、感動だよね」とか、そんな風に気楽に楽しんで、何回か読んでるうちにお気に入りのシーンとか見つけられたら、それで十分じゃないですか。オチでがっかりしたって、それまで楽しんだその感情は嘘じゃないだろう。どうしてそこまで遡って否定するような、それくらいの罵倒をするのか不思議だ。