男一匹琵琶湖一周徒歩の旅 4日目(長浜市−能登川)

〜前回のおさらい〜
男一匹琵琶湖一周徒歩の旅 1日目(瀬田唐橋−高島市南部) - マシバ}クンシッバ
男一匹琵琶湖一周徒歩の旅 2日目(高島市南部−マキノ町北部) - マシバ}クンシッバ
男一匹琵琶湖一周徒歩の旅 3日目(マキノ町北部−長浜市) - マシバ}クンシッバ
熊の脅威に怯えつつ奥琵琶湖の山を抜けついに北端の近江塩津へ。汚れた賤ヶ岳トンネルを抜け長浜の街を目指すも、歩けど歩けど街は見えず結局バス停で就寝。


−−−


10月6日。とあるバス停で4時50分に起床。いや、起床と言うより、寒くて寝ていられなくなったから体を起こしたような格好だ。ベンチに座りストレッチを試みる。膝と、寝違えた首が痛む。皮がめくれた足の裏に保護テープを巻き付け、膝にもテーピングを施す。昨日スーパーで購入した一房80円のバナナを頬張る。まだ青く甘みが少ないが、ここへきて上手い朝食を要求する根性もない。体は一晩分の寒さが沁みガタガタと震えるが、防寒具もなければ体を温めるエクササイズをする元気もない。自動販売機で温かいレモンティーを購入し、とぼとぼと長浜の中心街に向かって歩き始める。


当初の予定では、4日目に近江八幡まで到着すれば、5日で全日程を終わらせられる予定だった。しかしこの身体の調子では、彦根で休むのが賢明だろう。彦根で一泊、余裕があれば彦根城でも見て、もう二日かけて余裕を持ってゴールすればいい…… そう考えた。リタイヤするのが一番賢明と言えばそうなのだが、ここまで来たからには這ってでもゴールする覚悟でいた。


6時ごろに長浜城に到着。そこから長浜の中心街に行く。長浜の街は非常に広範囲にわたって大型店舗やチェーン店があり、見た目には非常に栄えている印象を受けるのだが、車の通りも人の影もまばらで、異次元に迷い込んだ気分になるほど妙な町だった。都会だとこの時間でも、牛丼屋には夜勤明けの「いかにも」な人々が飯を食らっていたりするのだが、牛丼屋にも人っ子一人いない。なんなんだあれは。


遊ぶところもないのでそのまま南下。米原の手前で北陸自動車道に合流する道に入りかけたりして来た道を引き返すはめになりながら、11時ごろ米原に到着。途中親切なおじさんが車に乗せてやろうと言ってくれたのだが、ここで乗ったら負けだと、丁重にお断りした。
あと一駅。あと一駅分歩いたら彦根だ。今日は彦根で休むんだから、少しゆっくり行こう。そう考えて彦根まで足をいたわりながら進む。


12時ごろ彦根市に突入。住宅展示場みたいなところに公園を見つけたので、昼寝をする。少年少女がキャッチボールする中、風呂に入ってない大学生がベンチで寝ているのはちょっとヤバかったが何も起こらなかった。結局40分ほど仮眠し、少しだけ体力が回復したのを確認していよいよ彦根の中心街へ。
前もって彦根城の周辺にはホテルが沢山あるのを確認していたのだが、彦根城の一番近くにあるホテルは宿泊料が高かったので却下。駅に向かって歩いてよさそうなホテルを探す。


1軒目
「シングルの素泊まりっておいくらですか?」
「申し訳ありません、本日シングルが満室でして…」
がーんだな…… 出鼻をくじかれた。


2軒目
「シングルの素泊まりって空いてます?」
「すいません、今日満室なんですよ、すんません」


何としても彦根で一泊したいから死に物狂いで彦根市を歩きまわったのだが、3軒目も4軒目も満室。何故だ!なぜ今日に限って満室なんだ!と、そこで今日が3連休の初日であることに気づく。そりゃ埋まるわ。合点承知之助〜!
彦根城の南側にある夢京橋キャッスルロードは江戸時代の家屋を再現したような街並みで非常に面白い。しかしその日は宿を探すことに必死で全く興じることもできず、異様に目をぎらつかせた手負いのハイエナのように歩いた。何がひこにゃんだ、何が脂取り紙だ、何が金魚だ茶屋だ。心を休める観光スポットに目もくれず途中見つけた宿を手当たり次第に当たってみるがどこも満室。時刻は14時を回った。さてどうする?
彦根でこのまま野宿をする手もあるが、流石に人通りの多いところを避けねばならないし、何より夜まで時間があり過ぎる。それならとにかく足がぶっ潰れるまで歩こう。歩こう…… 歩くしかないんだ……


で、地獄のような苦しみを味わいながら結局能登川まで歩いた。本当に道中、道路に突っ伏してそのまま気を失いたいと何度も思うくらいに過酷だったが、歯を食いしばって歩き駅前のビジネスホテルで宿を確保。時刻は20時。
シャワーを浴びようと靴下を脱ぐと、足が腫れている。これだけ歩くと捻挫のようになっているようで、足首も足の指も足の裏も全て痛い。あと、途中に転倒したせいで親指の爪の裏が内出血していた。
コンビニで買ったおにぎりとサラダを食った後、すぐにベッドにもぐりこんだ。テレビでは世にも奇妙な物語をやっていて、倉科カナが出たあたりでもう眠たくなって、消灯した。


この日が一番苦しかった。ここまで体が動かなくなったのは初めてだと思う。人生で五本の指に入るくらい苦しい日だった。歩行距離は計ってないけど、琵琶湖一周が220キロだから逆算して40キロくらいだろうか。よくやったよ。


次回はひたすらに歩いて完歩します。特筆することもないので後日談とまとめも一緒に書く。