涙で打ったうどん

たしか探偵ナイトスクープだったと思うが、昔「涙でうどんを打って食べたい」という依頼があった。探偵は石田靖だったと思う。
ロケのVTRに切り替わると、二人の女子大生が写っていた。少し前だと、いわゆる「スイーツ」なんて呼ばれていたような見た目の若い女性である。話を聞くと、涙には癒し効果があるから、涙で打ったうどんを食べてみたいというもの。なぜ飲むだけではなくてわざわざうどんにするのか、と石田がツッコんで現場もスタジオもすこし和やかな雰囲気になりながら依頼がスタートする。
まず始めに、涙を流すということで感動的なショートムービーを見ながら、コップに涙を集める。二人とも見た目どおりというか、ちょっとしたお涙頂戴の演出でわんわん泣いていたのだが、実際に集まった涙は二人あわせてもせいぜいお猪口を満たすこともできないくらいの量だった。これではうどんを打つには少ないということで、次は二人で大量の玉ねぎを切る作戦に出た。危なげな手つきでみじん切りする二人。沁みて二人の目から流れ出す涙を石田がせっせとスプーンで集め、同時に流れ出てくる鼻水を拭いてやり、それでも集まった涙は二人前のうどんを打つには少し足りない。
そこで石田が「最後の作戦」と称し、二人は近くの市民体育館みたいなところに連れられていく。そこにはなんちゃらスクールのトレーニングコーチと名乗る男が立っていた。子供のころに見た映像だったのではっきりとは覚えていないが、多分戸塚ヨットスクールのような民間の更正施設の職員だったのだろうと思う。ここから二人は鬼のようなトレーニングを受けることになり、上から半ば殴るように押さえつけられながら腕立て伏せをしたり髪を引っ張られながら腹筋をしたりして、汗と涙の混ざり物を収集、無事軽量カップにして半分くらいの涙(?)を集めることに成功する。
その後はナイトスクープ恒例の林先生に登場してもらい、「あほちゃうか」等なんやかんや文句を言われながらうどんを作ることに成功。そして完成したうどんを食べると、二人は感極まって「おいしい……おいしい……」と言って泣き出してしまった。いわく苦しい思いをした分心が癒されるとか涙の味がするだとか言っていたのだが、今になって考えるとなんだそりゃという内容であった。