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冷蔵庫チルドレン

バイトが冷蔵庫に入ったり材料を口にくわえたりした写真をネット上にアップロードして炎上している。らしい。問題にされるのは、SNSがオープンであることを自覚していないリテラシーであったり、あるいはそれを炎上させる人間たちのメンタリティーだの寛容さだのだったりするが、個人的には、そういう馬鹿をやる人間はもともとたくさんいたことのほうが問題だと思う。
いや、問題というか、それに気づいていなかった人々が気づいた、というところが大きいのだろう。「こんなものを見せられたら、他の飲食店でもやっているんじゃないかと思って気が重くなる」というコメントを見たが、まさしくその通りで、バイトにも客にも、裁かれない悪事を働く想定外の大馬鹿はたくさんいた。それが可視化された。
二度づけ禁止の串カツ屋で、本当にみんなが行儀良く二度づけをしないでいるかというと多分そんなことはなくて、しかしながら我々はそれくらいに目をつむって食事をしなければいけないのだし、醤油差しにはおっさんの鼻くそがついていて、図書館の本には歯間をほじくった指が何度も触れられていて、そういう世の中で暮らしているということを、より多くの人が自覚できた。
昔は多分(今でもそうなのかもしれないが)痴漢という犯罪も、そういう類のものだったのだと思う。「綺麗な女がいたから触ったった!すげー柔らかかった!」と、品のない人間同士が話題にするような行為だった時代があった。今でこそ立派な犯罪で、それこそ冤罪でも社会から一発退場を食らう可能性のある行為だから、まともな人間はしなくなったけど、昔は「ちょっとしたヤンチャ」程度のものだったのだろう。事実、「痴漢くらいで」と発する(年配の)人を見たことがある。「痴漢はアカン」とわざわざ寒い洒落で啓発しなければ人々はその重大さに気づけなかった。
ネットの使い方もいずれそうなる。他人や自分の人生を終わらせたくなかったら、悪事の自慢はやめよう。法とか理屈は後まわしとして、社会がそうさせていくのだろう。
正直者が馬鹿を見ている現実が露わになって、馬鹿を見た正直者の攻撃性も露わになって、馬鹿と正直者がお互いに身を守るために住み分けをし始めるような気がする。しかし、そうなればクソガキとチンピラはこれから本当に行き場が無くなるなあ。暴力団からも一般人からも刃物が飛んでくる状況で、彼らはどうするんだろう。森とか海とかに住み着いてヒッピーみたいな変なニッチを形成したら面白いなあ。